
志野の部屋へようこそ
焼き物を始めて暫くすると、志野の持つ淡雪のような肌合いが気になりだすものです。
しかし、市販の志野釉を購入して焼成してみてもなかなか上手くいきません。
まして、造形となると変形していて、簡単かと思ってもこれも上手くいきません。
そこで、このページでは、安直ではありますが、
”プロもどき”な志野の作製方法を考えたいと思います。
造形の章
プロ作家の作品の持っている、あの独特の柔らかさを出そうと思い
始めて間もない人が、轆轤の上で、無理矢理変形させようとすると
必ずと言ってもいいほど、わざとらしいそれでいて妙に硬直したような、
造形物が出来上がります。
そもそもプロの作家さんのほとんどは、志野の造形に手轆轤を使用します。
回転にムラが出る為に自然と、柔らかい歪みが生まれます。
熟練を要する為に、私達がただ闇雲に手轆轤を使用したからといって
あのような造形が出来る訳ではありません。
かと云って手を拱いているのもしゃくにさわるでしょう。
そこで、一つ提案いたします。
まず、使用する土をかなり柔らかめに練ります。
練り台に、べとべとくっついてしまうくらいが適当だと思います。
これで成形し(途中、歪んでも気にしません)最後に茶碗なら口縁を折り返します。
これで、自然な歪みと口縁ができる筈です。
是非一度試してみてください。
釉薬掛けの章
まず、基本的には素焼きはしません。
どうしてもと云うのなら、最高温度を450度程度に止めるべきです。
これは、釉薬の掛かりにムラを作る為です。
800度近辺まで上げて、完全に素焼きをすると、生地が均一に釉薬を吸って
独特の風合いが出なくなってしまいます。
次に釉薬を掛けます
志野の緋色と云うのは、釉薬が薄くなった部分と、鬼板で絵を描いた部分に
出ます。
もう一つ、故荒川豊蔵氏は、鞘鉢の内側に赤土をくっつけておいて
それに、作品の膚を触れるか触れないかくらいにしておいたそうです。
それに依って赤土の色がほんのりと、作品にうつるんだそうです。
さて、釉薬を掛けますが、まず緋色を出したい部分に霧を吹きます。
これは、釉薬の掛かりを薄くして緋色が出やすくする為です。
場合に依っては、柄杓で水を掛けても良いと思います。
掛けた後でも、上から息を吹いて寄らせます。
焼成の章
焼成はそんなに難しさはありません。
ただ、根性は必要です。
まず、通常のように900度くらいまで温度をあげます。
そこから還元焼成に入ります。
比較的、強い還元にしたまま、一時間に20度程度の温度上昇を保ったまま
例えば、故荒川豊蔵氏タイプでしたら1150度近辺まで
故加藤唐九郎氏風でしたら1200度近辺(場合によっては1250度近辺)
まで、温度を上げます。
最高温度にて、一時間ほどねらした後、今度は温度下降に入ります。
この時点では、まだ写真のようにただ説けただけです。

ここから、下降に転じやはり一時間に20度程度の割で下げて行きます。
この時点でも、強還元は保っておきます。
温度が1150度近辺になる頃から、除除に還元濃度を薄くします。

1100度くらいになる頃には酸化焼成に換わるくらいで良いでしょう。
そのまま、酸化を保ったまま、950度くらいまで下げます。
あとは、個人、個人の工夫に依っていろいろな焼成が出来ると思います。
ネズミ志野などは、還元と酸化の切り替え時期に依っていろいろな
表情を見せてくれます。
ゆっくりと下げる事でアダ光りも消え、しっとり焼き上がります。
